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SUW2014リリースイベント「まちを支える遊び力」レポート【前半】

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石巻STAND UP WEEK 2014に関連して、トークセッション「まちを支える遊び力」を六本木ヒルズのGoogle東京オフィスで開催しました!

約80人のお客さんにお集まりいただき、刺激的なプレゼンテーションと、白熱した議論でとても盛り上がりました。

前半部分のプレゼンテーションのレポートをお送りします。

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伊藤香織さん(東京理科大学准教授/シビックプライド研究会)
「まちと仲良くなるスキルを磨く」

本業は都市の研究をしています。クラブ活動で「東京ピクニッククラブ」というのをやっています。
都市が好きで、年間20都市新しい都市にいくことを目標に、数え始めて10年間で、206都市なので、なんとか年間20都市行けています。(ただ通過しただけとか、歴史や街の骨格を調べることができていないときはカウントしません)
好きな都市はたくさんあって、I♡NYのように、M ♡ YOU(Munchen loves you)というミュンヘンの都市メッセージはウェルカムされている感覚があります。
サンクトペルテンという街では、なぜか道の真中に赤絨毯が引かれていて「歓迎されている感じ」が伝わってきました。
芝生に入って楽しんでくださいという立て看板がある街やローラーナイトというローラースケートで走れるイベントなど、街にウェルカムされていると感じる都市が好きです。
でも、東京にはウェルカムされていてるとはあまり感じないので、東京ピクニッククラブというクラブ活動で、都市をこじ開けようとしています。
2002年に東京ピクニッククラブを立ち上げて、ピクニックを通して都市を変えようと考えています。
ピクニックフィールドワークと称して、都市の中にある芝生(グリーンフィールド)でお酒を飲んでみたり、ブラウンフィールドと呼ぶ、そうでない場所でもピクニックしてみたり。勢い余って中央分離帯でやって3分後に怒られたりしています(笑)

ピクニックライトというピクニックをする権利を主張して、まちの自由度が図れるのではないかと思っています。
ユーザー側の想像力が不自由であるということもあると思います。街を見出すという想像力も試されています。

イギリスのニューカッスル・ゲーツヘッドという街で、ピクノポリスという企画をやりました。
マザープレーンという大きな飛行機型の芝生から、ベビープレーンという小さな飛行機マットを持ってピクニックするというイベントで、10日間やりました。
そこではピクニックコンテストというものをやりました。
市民がピクニックのアイディアを競うというものです。一位の人はイギリスのとても料理が上手な老夫婦でした。

ピクニックというのは自分たちで空間をつくれるツールだと思います。
大学でも教えているので、建築学科の一年生にピクニックのアイディアを出させています。
斜面でやったり、建物の隙間でやってみたり、いろんな空間を見出す訓練としてとてもいいのではと思っています。
その後も横浜やシンガポール、大阪、去年は福岡でもやりました。福岡はとてもピクニカビリティが高く、いい街でした。このときはピクニックをテーマに屋台を出してもらいました。

You are your cityという貴方自身があなたの街なんです、というようなシビックプライド(まちへの誇り)という概念が約100年前のビクトリア朝の時代からあります。
とはいえいきなり、自分のまちを自分がつくったとは言えないので、「まちと私の関係を築く」ということから始めていこうとしています。オレゴン州のポートランドのコートハウス・スクエアという広場は市民の寄付によってできました。その広場に敷いてあるレンガには寄付した市民ひとりひとりの名前が書いてあり、「私たちが作った」という誇りを実感することができます。
まちを使いながら自己実現をすることで、まちが変わっていくということもあります。そのなかで少しずつシビックプライドが芽生えてくることが言えると思います。

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まちと私の関係をみんなで共有する
一緒に見たり、触ったり、経験したりできること、まちなかに現れてくること。

ピクニックはシビックプライドを少しずつ育てていく、身近な手法だと思います。
石巻でもいいピクニックができるとよいなと思っています。

 

星野諭さん(NPOコドモ・ワカモノまちing代表理事)

普段、プレーワーカーという子どもたちと遊ぶ仕事をしています。いつも帽子をかぶっているので、これをかぶってスイッチを入れたいと思います。普段、カービーと子どもたちから呼ばれています。

今日は「3.11遊びの力 アソビ=生きること」というテーマでお話をしたいと思います。
キーワードは「遊びの力」です。
まず、こういう活動をしている社会背景からお話します。
4間の欠如とよばれる「時間・空間・仲間・すき間」の欠如が都市部で言われていましたが、実は震災が起こったことで、東北にも同じことが言われるようになりました。

その中で「アソビ=生きること」をテーマに活動を始めました。
「感育」ということ言葉で、あらゆる感性を育てるということを大事にしています。

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私たちの活動で、アソビの出前ということをしていました。
移動式子ども基地というトラックで、遊び道具を100種類積んで、東北の仮設住宅をめぐることを始めました。
公園を仮設住宅にしているところも多いので、アソビの場所がなくなっていました。
仮設住宅は何度か泊まらせてもらったことがあるんですが、壁も薄く、ストレスがたまってしまう環境でした。そんなストレスを解消するためにアソビの出前をしました。
その横では、おじいさんおばあさんのためのほっこりカフェというのをソーシャルワーカーと一緒にやっています。

印象に残っているエピソードがあります。
ある遊び場のとき、お母さんから一歩も離れられない4歳の子がいました。津波の恐怖から、お母さんのもとから6ヶ月間一歩も離れらなくなってしまっていた子が、周りの大人たちがアホになって遊んでいるのを見て、ワクワクしだして自分からアソビに加わるようになりました。
それを見てお母さんは2時間泣き続けていました。
アソビの力を実感した1日でした。

石巻の黄金浜というところで、子どもたちと一緒に公園も作っています。
お金はないんですが、おじいちゃんたちに先人の知恵を教えてもらいながら、公園の工事をしています。
自分たちでナタやナイフを駆使して、柱を立てたり、瓦礫からテントを作り出したり。
最初の一年目は包丁もなかったのでそれも自分たちでつくりました。

そこにはみんなでピザ窯もつくりました。
ここは多分世界一時間がかかっている遊び場ですけれど、世界一ハートが詰まっている遊び場でもあると思います。
大人がつくってあげるというよりも、こどもたち自身がつくるアソビ場です。

こどものまち・いしのまきという活動もしています。
道路に芝生をひいて、こどもたちがなりたい仕事を体験できる場でした。約1500人の子どもたちが来場し、まちなかで遊びを通して仕事体験をしました。

また、一年前のスタンドアップウィークでやった企画で、イギリスの高校生と歌をつくるということをしました。
まだ発信できていないのでGoogleさんとなにかできるといいと思っています(笑)

最近では石巻で活動する他の団体とノウハウや悩みのシェアをすることも重視しています。

私は「あそびは世界を平和にする」と本気で思っています。
自分が、地球という星に何をしに来ているのかなあと考えた時に、「自分はアソビに来ているんだな」と思います。ぜひ一緒にみなさん、遊びましょう!

 

松村豪太(一般社団法人ISHINOMAKI 2.0代表理事)

3.11のとき震災を経験して、津波の上で一晩過ごしてこれは大変だなと思ったんですけれども、そのあとに建築家などいろんな人と知り合って、石巻2.0という団体を立ち上げました。

団体のメッセージとして「世界で一番面白い街を作ろう」ということを言っていますが、抽象的です。そのための一歩として、まちを開くことを活動としています。でも、伊藤先生のお話を聞いて、開くどころか「こじ開けなくてはいけない」のだと思いました。

今日の遊びというテーマは、Wikipediaによると、知的動物が心を満たすための活動とあります。
我々のやっていることはまさに遊びだと思うんです。
震災後、自粛とか不謹慎とか、被災地にいる人間から見るとなんの腹の足しにもならないことが言われていましたが、そんなことよりも、もっと大人がアホになって遊びをすることが大事だと思っています。

Googleが開発したIngressというゲームの石巻大会をやり、日本のみならず世界中から石巻にプレーヤーが遊びに来ました。ものすごい盛り上がりでした。

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ロジェ・カイヨワによる遊びの4類型(競争・偶然・模倣・めまい)というものがあります。
その中の「模倣」ごっこ遊びというのは僕はとても大事だと思っています。

一箱古本市というイベントでは、本屋さんごっこを市民の人たちがやりました。そこから「まちの本棚」という場所がDIYで生まれました。

また、最初は僕がマスターをしていた、復興バーという10人でいっぱいになってしまうバーで、1日マスターというバーのマスターになれる「前向きな人任せ」もやってみて、好評を得ました。
そして、銀座で復興バーをやることになり、今年も開催することになりました。
去年銀座8丁目だったのですが、今年は7丁目になり、だんだん中心に近づいています(笑)歩道にまでお客さんが広がって、大変盛り上がりました。

先ほど星野さんのお話にもありましたが、こどものまち石巻というプロジェクトもやりました。

この街にはディスコとミラーボールが必要だ、という地元の社長さんが話しているのを聞いた石巻のラッパーが、地元の音楽好きを集めてDIYでダンスホールを作ろうとしています。

楽しみながら、DIYで空間を切り開き、ビジネスを生み出していくということが我々のやっていることです。

石巻には震災から1年間で28万人というボランティアが来たと言われています。
その中には石巻に居着いて、新しいビジネスを始めた人たちも少なからずいます。

ただ、彼らが住むところや、起業するところが少ないという現実があります。
当然のことながら、被災者の住居を提供することが優先です。
そんななか、商店街の古い建物の一角をリノベしてシェアハウスをつくる2.0不動産というプロジェクトも始めています。

「面白い」をキーワードにしている私たちの活動はまさに遊びそのものだと思っています。

 

【後半につづく】


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